経営革新計画とは
2017/11/01
経営革新計画とは
国の中小企業支援の中に、『経営革新計画』という施策があります。
この施策を簡単に言うと、「将来の成長に向けてがんばる中小企業が、その成長に向けた動きをきちんと見える形にして計画書を出すと、いろいろサポートするよ」というものです。
今回は、この施策について、対象や支援内容、支援を受けられる基準など、その内容について見ていきたいと思います。
そもそも経営革新計画とはなに?
平成11年からスタートした中小企業支援のために作られた施策で、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書のことです。
計画書を作り、国や都道府県に承認されると、いろいろと特典が付いてくるというものです。
経営革新計画の特典とは?
計画が承認されると次のことが特典として利用できる可能性が高くなります。それぞれ利用申請して、審査が通ると利用できます。(計画申請とは別に、承認後それぞれ申請を上げる必要があります。)
その他都道府県によって独自の融資制度や施策を行なっていますので、興味のある方は確認してみてください。
経営革新計画を作るメリット
上述したように、計画が承認されるといろいろと支援を受けられる特典がもらえるというメリットがあります。
もう1つは、過去のコラムでも書きましたが計画を作るということは、
・事業が成り立つのか事前に確認ができ、実行の判断ができる。
・仮説を立てる、計画を立てることで検証できる
・経営、アクションする上での根拠、自信ができる
・結果、経営を実行する上での時間短縮ができる
というメリットを享受できます。
また、計画を作らないできた経営者の方であれば、自分の中にある想い、悩みや不安、現状や課題の把握をする機会となり、非常に有益なことにもなります。
経営革新計画を申請できる対象
1年以上の事業実績がある中小企業者が対象となります。
これは個人事業主の方でもOKです。
※医療法人・学校法人・社会福祉法人・NPO法人等は対象となりません。
※過去3年間において、企業経営上の関係法令に違反する重大な事実がある場合等には、登録できないことがあります。
ここからはもう少し経営革新計画の中身について掘り下げてみましょう。
経営革新計画の「新事業活動」とは
「新事業活動」とは次の4つの分類に該当するものをいいます。
①新商品の開発または生産
②新役務の開発または提供
③商品の新たな生産または販売方式の導入
④役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動
他社ですでに採用している技術や方式でも、自社にとって「新たな事業活動」であれば原則対象となります。
ただし、業種ごとに同業の中小企業ですでに相当程度普及している技術・方式などの導入については対象外となります。
「経営の相当程度の向上」とは
計画終了時における2つの指標(「付加価値額」と「経常利益」)とも、計画期間に応じた目標伸び率を達成する必要があります。(両方クリアする必要があります)
(算出式)
・「付加価値額」=営業利益 + 人件費 + 減価償却費
・「一人当たりの付加価値額」=付加価値額/従業員数
・「経常利益」=営業利益?営業外費用(支払利息・新株発行費等)
※経営革新計画における「経常利益」の算出方法は、通常の会計の算出式とは異なり、営業外収益は含みません。
経営革新計画承認後はどうなる?
上述したように、受けたい支援についてそれぞれ支援策に関する利用申請を上げる必要があります。
また、計画期間中、計画終了時に実施状況を把握するためのフォローアップ調査を受けることになります。
さいごに
経営革新計画で肝となるのは、「成長性」と「新規性」です。
新しいことに取り組み成長していくという新規性に比重が置かれますが、既存事業の充実による成長も重要な要素となります。
特典を受けることが主目的のうわべだけの経営革新計画を作るのではなく(この目的で誘ってくる業者は意外と多いので注意が必要)、あるべき姿の設定や現状把握をしたうえで、将来に向け持続的な成長ができるよう関係者を交えたしっかりとした計画を作ることが重要です。