小規模企業白書から見る小規模企業の事業承継の状況
2018/04/16
小規模企業白書から見る小規模企業の事業承継の状況
2016年10月の調査で、65歳以上の人口は3,500万人に迫り、高齢化率は27.3%と、日本は高齢社会を迎えました。(「平成28年版高齢社会白書」より)
同じように経営者の高齢化も進み、会社や事業の継続に関する問題、引いては日本経済の土台を揺るがしかねない状況となっております。
企業規模別企業数の推移【1-2-1図】ですが、2009年から2014年の5年間で中小企業は39万者(社)が減少しました。
内訳としては、中規模企業は2万者増加しましたが、小規模企業は41万者減少し、トータルで39万者減少ということになります。
また、開廃業数の内訳【1-2-3図】をみると、5年間で小規模企業は約55万者の開業がありましたが、その倍近い103万者が廃業しております。
ここで廃業の状況【1-2-11図】について見ると、倒産件数は減少傾向である一方、休廃業・解散件数は年々右肩上がりとなっており、2016年の件数は2000年の倍近い値となっています。
さらに休廃業・解散企業の経営者の年齢構成比の変化【1-2-13図】をみると、2016年構成比をみると14%が80歳以上の経営者となっており、高齢化の影響を見ることができます。
また、中小企業全体でも経営者の25%が70歳以上、60歳以上に至っては60%と高齢化にシフトしてきており、これまでの対応のまま10年後・20年後となった場合、経営者の高齢化問題は深刻なことになります。
ここで、休廃業・解散企業の売上高経常利益率【1-2-14図】をみると、休廃業・解散企業の半数は黒字の企業であることがわかります。
黒字の企業にもかかわらず廃業しなければいけないというもったいない状況を生み出しており、これも日本経済としては損失であります。
今後も高齢化は加速していくため、小規模事業者の減少も加速することが見込まれます。ただ、高齢化が加速したとしても、事業承継をしっかりとできれば問題はないのでしょう。実際、現状は事業承継に対する対応の遅れや情報不足、意識不足が影響を与えていると思われます。
国内企業数の87%、国内従業者数の20%強を占める小規模企業数の減少は付加価値額の減少や従業者の雇用環境など日本経済に多大な影響を与えかねなく、歯止めをかけていかなければいけない状況です。